小児の脳外傷後高次脳機能障害の現状と問題点

ページ番号1002829  更新日 令和6年5月21日 印刷 

名古屋市立大学大学院 医学研究科 脳神経外科学 教授
名古屋市総合リハビリテーションセンター附属病院 脳神経外科
間瀬 光人

本研究では小児頭部外傷後の高次脳機能障害の診断に関する実態調査をすることにより、入り口での問題点を明らかにするとともに、急性期から症状固定にかけての脳神経外科医や小児科医に対する啓蒙をも目的とした。

小児頭部外傷後の高次脳機能障害の診断に関する実態調査を行った。
(1)一次調査アンケート
調査対象:日本脳神経外傷学会の会員
実施方法:郵送にて送付し、オンライン(Google form)による回答
調査期間:令和4年12月5日~令和4年12月31日
(2)二次調査アンケート
調査対象:一次調査の際に、より詳細な二次調査へ協力可能と答えた医師
実施方法:電子メールで依頼し、オンライン(Google form)による回答
調査期間:令和6年1月5日~令和6年1月31日
調査結果を統計的に解析した。

本研究では、多くの脳神経外科医を始めとした医師が、小児の高次脳機能障害について困難を感じたり、次の支援先へのつなぎをスムーズに行えていないことを感じていることが明らかとなった。
今後、小児の支援を考えていく際には、実際に支援に当たっている福祉や教育の立場からだけではなく、入り口となる急性期、回復期での病院の医師やスタッフの理解促進、その後の支援へのシームレスな移行をするための情報提供、それらを可能にするための研修機会の創設が必要であると思われた。