名古屋市における就労継続支援A型事業所の現状と課題-事業者,利用者,支援者それぞれの立場から支援のあり方を考える-

ページ番号1000606  更新日 平成30年3月30日 印刷 

障害者就労支援センター
角谷 勝巳

名古屋市における就労継続支援A型事業(以下「A型事業」)の現状と課題を明らかにするために以下の調査をおこなった。

  1. A型事業所調査
    • アンケート調査
      対象:名古屋市内のA型事業所の管理者またはサービス管理責任者
      発送:94事業所  回収:48事業所(回収率51.1%)
    • ヒアリング調査
      A型事業所の管理者またはサービス管理責任者 3名
  2. 利用者調査
    • アンケート調査:A型事業所利用者(元利用者を含む) 148名
    • ヒアリング調査:A型事業所利用者(元利用者を含む)  3名
  3. 関係機関調査
    • アンケート調査:名古屋市内の障害者基幹相談支援センター(23カ所)、就労移行支援事業所(41カ所)、障害者就業・生活支援センター等(6カ所)
      発送:70機関  回収:49機関(回収率70.0%)
    • ヒアリング調査:障害者基幹相談支援センター相談支援専門員 3名

【結果】
アンケート調査およびヒアリング調査により、名古屋市におけるA型事業所の現状が明らかになった。主なものは以下のとおり。

  • A型事業者には障害者支援の経験の蓄積が万全とはいえず、特に精神障害や発達障害のある利用者の支援に苦慮している。作業等の収入は利用者の給与に対し不十分で、多くの事業所が作業等の変更や新規開拓を課題と考えている。
  • 利用者は「通院時間の確保や服薬管理等の配慮」及び「労働時間の配慮」に満足を感じているが、「福利厚生」「教育訓練・研修」「評価、昇進・昇格」「賃金」への満足度は低かった。また、自由記述やヒアリングでは「職員(支援者)」「事業所の支援体制」「労働条件」に対する不満や課題が多く聞かれた。
  • 関係機関には利用者からA型事業所への不満やトラブル等の相談が寄せられていた。A型事業所からも支援の相談があり連携している例もあるが、一部のA型事業所は運営の実態が周知されておらず、他機関との連携が課題であった。