名古屋市における就労継続支援A型事業所の現状と課題-事業者,利用者,支援者それぞれの立場から支援のあり方を考える-
障害者就労支援センター
角谷 勝巳
名古屋市における就労継続支援A型事業(以下「A型事業」)の現状と課題を明らかにするために以下の調査をおこなった。
- A型事業所調査
- アンケート調査
対象:名古屋市内のA型事業所の管理者またはサービス管理責任者
発送:94事業所 回収:48事業所(回収率51.1%) - ヒアリング調査
A型事業所の管理者またはサービス管理責任者 3名
- アンケート調査
- 利用者調査
- アンケート調査:A型事業所利用者(元利用者を含む) 148名
- ヒアリング調査:A型事業所利用者(元利用者を含む) 3名
- 関係機関調査
- アンケート調査:名古屋市内の障害者基幹相談支援センター(23カ所)、就労移行支援事業所(41カ所)、障害者就業・生活支援センター等(6カ所)
発送:70機関 回収:49機関(回収率70.0%) - ヒアリング調査:障害者基幹相談支援センター相談支援専門員 3名
- アンケート調査:名古屋市内の障害者基幹相談支援センター(23カ所)、就労移行支援事業所(41カ所)、障害者就業・生活支援センター等(6カ所)
【結果】
アンケート調査およびヒアリング調査により、名古屋市におけるA型事業所の現状が明らかになった。主なものは以下のとおり。
- A型事業者には障害者支援の経験の蓄積が万全とはいえず、特に精神障害や発達障害のある利用者の支援に苦慮している。作業等の収入は利用者の給与に対し不十分で、多くの事業所が作業等の変更や新規開拓を課題と考えている。
- 利用者は「通院時間の確保や服薬管理等の配慮」及び「労働時間の配慮」に満足を感じているが、「福利厚生」「教育訓練・研修」「評価、昇進・昇格」「賃金」への満足度は低かった。また、自由記述やヒアリングでは「職員(支援者)」「事業所の支援体制」「労働条件」に対する不満や課題が多く聞かれた。
- 関係機関には利用者からA型事業所への不満やトラブル等の相談が寄せられていた。A型事業所からも支援の相談があり連携している例もあるが、一部のA型事業所は運営の実態が周知されておらず、他機関との連携が課題であった。