課題番号2017017

ページ番号1001451  更新日 平成31年4月9日 印刷 

研究課題

[15O]GAS-PETCT検査の薬剤吸入マスクおよび散乱補正法の違いがPET画像へ与える影響

研究責任者

名古屋市総合リハビリテーションセンター 放射線診断科 診療放射線技師 林絵美

研究組織

企画研究室 布谷隆史、放射線診断科 後藤啓介 画像処理
放射線診断部 部長 飯田昭彦 データ解析・個人情報保護
国立循環器病研究センター病院 放射線部 医学博士 飯田秀博 アドバイザー

研究期間

平成30年3月19日~平成32年3月31日(予定)

対象者

平成26年4月から平成30年3月までに脳循環代謝測定で[15O]GAS -PETCT検査を実施した70名

利用する情報

[15O]GAS –PETCT検査における血液中放射能濃度測定値とPET画像、MRI画像

情報の管理

当事業団における個人情報保護方針に沿って管理を行う

研究目的

一般的にPETCT検査の多くは静脈から薬剤を注入し、画像データを収集するが、 [15O]GAS-PETCT検査は極少量の気体状放射性薬剤を空気中に混合し、吸入用マスクを介して呼吸により体内に投与するものである。吸入マスク(従来マスク)は、完全に密封はされておらず、換気のための小さな孔や顔面-マスク間に生じるわずかな隙間から放射性薬剤が漏洩する。この漏洩薬剤を回収する目的で吸引用マスクを被せて検査を行っているが、数例の症例において、完全に吸引できず、外側の空気中に薬剤が漏洩した様子が画像上確認された。漏洩放射性薬剤は、散乱線となり画像に乱れが生じ、加えて、検査従事者の内部被曝の原因にもなるため、漏洩はできる限り小さくする必要がある。その後、国立循環器病研究センターにおいて開発された、漏洩が少ない改良マスクを使用する機会を得たため、平成29年2月より現在まで改良マスクを用いて検査を行っている。一方、PETCT画像が正しく表示されるには、様々な補正が組み込まれているが、そのうちの一つが散乱補正である。過去の実験において、空気中に放射性薬剤が存在した場合に、標準的な散乱補正プログラムを用いると、散乱推定が過補正となりPETの定量精度を低下させること、これを解除するには頭部PET検査では問題にならない補正項を除くことで誤差が低下することが物理実験によりわかっている。本研究の目的は、すでに収集済みのデータを用いて、漏洩薬剤の有無を調査し、画像作成時の散乱補正法の違いがPET画像の計測値に与える影響を調べるものである。

研究方法

  1. 画像再構成
    既存の[15O]GAS-PETCT検査データに対して、PETCT装置本体の画像処理装置を用いて、解析に必要な画像を再構成する。作成する画像は、収集元データのみを画像化したエミッション画像、減弱補正のみを実施した減弱補正画像、減弱と散乱線を補正した定量画像を作成する。散乱補正は2種類(現在標準的なRelative-scaling法、頭部PET検査では問題にならない補正口を除いたAbsolute-scaling法)をそれぞれ実施する。
  2. 画像の数値計測
    作成した画像は、放射線科操作室の画像解析用コンピュータへ転送する。画像表示ソフトウェア(OsiriX)と画像解析ソフトウェア(Pmod、Image J)を用いて、画像の数値計測を実施する。計測部位は、通常臨床で出力している脳領域に加え、マスク内および空気中に存在する放射性薬剤の量も計測する。計測時には、恣意性のない関心領域を設定するためにMRI画像を用いる。MRI画像は院内画像サーバーより画像解析用コンピュータに取り込み使用する。得られた数値データは企画研究室データサーバーへ保存して使用する。
  3. 考察
    マスク(2種)と漏洩放射性薬剤量の関係性および散乱線補正法(2種)と画像計測値の違いを比較検討する。

本研究に関する連絡先

名古屋市総合リハビリテーションセンター 放射線診断科 林絵美
愛知県名古屋市瑞穂区弥富町密柑山1-2
電話:052-835-3811(内線650 放射線科)

情報公開文書

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