課題番号2017012

ページ番号1001452  更新日 平成31年4月9日 印刷 

研究課題

[15O]H2O-PETCT検査における薬物の動態解析に関する検討

研究責任者

名古屋市総合リハビリテーションセンター 放射線診断科 診療放射線技師 林絵美

研究組織

企画研究室 布谷隆史、放射線診断科 後藤啓介 画像処理
企画研究室 主幹 日比野新、名古屋市立大学 脳神経外科 教授 間瀬光人 データ解析
秋田県立脳血管研究センター 放射線医学研究部 松原佳亮 データ解析に関する技術供与およびアドバイス

研究期間

平成29年11月27日~平成31年3月31日(予定)

対象者

平成27年1月~平成29年4月までに「脳脊髄液のリンパ系ドレナージから見た特発性正常圧水頭症の病態解明」研究にご協力いただいた方で [15O]H2O-PETCT検査およびMRI検査を実施した15名30例

利用する情報

[15O]H2O-PETCT画像およびMRI画像

情報の管理

[15O]H2O-PETCT画像およびMRI画像は個人が特定できないように情報を加工し、名古屋市総合リハビリテーションセンター附属病院内で画像処理と解析を行う。データの解析に際して、秋田県立脳血管研究センター 放射線医学研究部 松原佳亮に技術供与およびアドバイスを受ける。統計処理等により得られた研究成果については、各研究者が学会および論文等で発表する可能性があるが、個人を特定できるような情報は含まれない。

研究目的

[15O]H2O-PETCT検査は、髄液のターンオーバー(動態)を評価する研究目的で、2013年9月より現在も検査が行われている。この検査は、[15O]H2O薬剤の静脈注入開始直後から15分間または20分間のPET収集を行い、薬剤の脳内への流入・流出を画像化するものであり、組織に流入する様子を秒単位で画像化し、組織における[15O]H2O濃度変化(Time Activity Curve,TAC)を測定可能である。現在実施している解析法は、灰白質や白質、側脳室などの関心領域を設定し、TAC計測および、その比較を行っている。比較にはTACの傾き(Slope)やTACの曲線下面積(Area Under Curve,AUC)を用いている。
一方で、PETでは装置の空間分解能の限界(半値幅4mm~6mmの広がり)による画像のボケによって、真の放射能濃度に周囲の放射能濃度の成分がある程度含まれて放射能濃度が測定される。このことを部分容積効果という。
本研究では、既に算出したSlope・AUCに加えて、薬物動態解析(生体内に投与された薬物の量的、質的な変化の過程を数学モデルに基づき定量的に評価する方法)による新たなパラメータの算出を試みる。特に本研究課題においては脳室における動態解析を行うにあたって、脳室の周囲にある放射能濃度の比較的高い領域からの影響が懸念されることから、部分容積効果補正(partial volume Correction,PVC)を行い、真の放射能濃度に基づいて動態解析を試みる。[15O]H2O-PETCTデータの健常群、正常圧水頭症患者群(術前・術後)を対象に、Slope・AUCに加えて動態解析パラメータを算出し、その特徴を比較することで、健常群および患者群の術前後の判別が可能であるか検討することを目的とする。

研究方法

平成27年1月~平成29年4月までに[15O]H2O-PETCT検査およびMRI検査を実施した健常ボランティアおよび正常圧水頭症患者15名30例を対象とする。既に収集済みのPET・MRI画像データを放射線科操作室の画像処理装置(OsiriX,Pmod)に転送し、PETとMRIの画像位置あわせ、関心領域(Region of interest、以下ROIとする)の設定とROI画像作成を行う。企画研究室のPCを用いて、ROIの解剖学的位置情報を元にPVCを行うプログラムを実施する。PVC前後のTACデータは、放射線科操作室のPCにてデータ整理を行い、SlopeおよびAUCの計測を行い、薬物動態解析を用いたパラメータの算出を行う。この動態解析では、薬剤が均一に分布している領域をコンパートメントとして定義し、コンパートメント間の薬物の移動に関するパラメータの推定を行う。健常群・患者群(術前・術後)でパラメータを比較し、統計的有意差検定を行う。

本研究に関する連絡先

名古屋市総合リハビリテーションセンター 放射線診断科 林絵美
愛知県名古屋市瑞穂区弥富町密柑山1-2
電話:052-835-3811(内線650 放射線科)

情報公開文書

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