組織再生応用に向けてのヒト線維芽細胞のクローン化と特性解析

ページ番号1001718  更新日 令和2年6月26日 印刷 

名古屋市総合リハビリテーションセンター附属病院 整形外科
荻久保 修

本研究課題ではまず、臨床検体より得られるヒト組織の初代培養線維芽細胞から、クローン化細胞を樹立するための培養技術開発を行い、本クローン化培養法の確立後に得られる、種々のクローン化線維芽細胞の特徴付けを、遺伝子発現プロファイリングならびにタンパク質発現プロファイリングから行った。
患者組織より得られた線維芽細胞をクローン化し、その特性を解析した結果、得られた細胞は間葉系の細胞であることが示された。次に、細胞増殖、コロニー形成能の解析と、低酸素培養条件下で得られた線維芽細胞のクローンを用いて遺伝子発現比較解析を行った結果、マトリクス遺伝子とマトリクス分解酵素遺伝子の発現レベルと細胞増殖&コロニー形成能、およびTypeIコラーゲン収縮能において大きく2つのタイプに分類可能であることを示した。
以上の結果より、患者組織より得られた線維芽細胞は不均一な特性を持つ細胞集団であり、少なくとも、増殖型&マトリックス産生型と非増殖型&マトリックス分解型に分類できることが明らかとなった。