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ホーム  > リハビリテーションセンター  > 高次能機能障害支援のご案内  > 名古屋リハにおける援助の基本

リハビリテーションセンター

名古屋リハにおける援助の基本

「名古屋リハ方式」と呼ばれる援助の基本的な考え方や方法を紹介しています。
モデル事業に取り組む中でさらにバージョンアップしました。


Ver.1  第2期に整理し、以降名古屋リハにおいて共通で使用してきた援助の基本的な考え方です。

社会適応モデルに基づく全員一致のシステムアプローチ

高次脳機能障害者の認知障害や社会的行動障害は目に見えにくいものです。現実に困難な事態に直面したときに初めて障害として立ち現れてきます。その時に即(リアルタイム)、客観的事実を示し(リアリティ)、とるべき行動を示唆するアプローチをリアルフィードバックと呼んでいます。リアルフィードバックを繰り返すことで、障害の認識を促進し、補償行動を身につけるように働きかけていきます。
しかし、高次脳機能障害者自身の努力だけではなかなか社会生活をうまく送ることが難しいので、能力に見合った環境を設定し、安定して行動できるように配慮することも重要です。また、関わるスタッフが情報を共有し、一致したアプローチをしないと高次脳機能障害者は混乱をしてしまいます。
高次脳機能障害者に対しては下図のような社会適応モデルに基づいた全員一致のシステムアプローチが必要になります。これらは非常に教育的なアプローチだといえます。適応的になり社会生活に戻った後も、状況の変化に応じて、相談にのったり介入をし、長期的に支援していきます。

社会適応モデル図

障害の認識を促進するアプローチ

高次脳機能障害者は「病識欠落」といって、自分の障害を認識することが難しいのも 特徴のひとつです。障害についての認識は図のように全く気づいていないレベルから知的に理解し、体験を通して具体的に分かるレベルへと進めるようにアプローチしていきます。自分の障害について実感をもって分かるようになると意識して補償行動をとろうとします。
しかし知的に理解しているレベルに留まると、一見理解しているように見えて、行動が伴わないばかりか、言い訳(知性化という防衛機制)を多用して却って周囲と摩擦をおこしてしまうような事態も生じます。

自己認識の階層図

5. 予測して補償行動をとる
4. 具体的に知っている、補償行動をとろうとする
3. 一般的な説明ができる
2. 漠然と気づいている、指摘されれば否定しない
1. 全く気づいていない、障害を否定する

安定した生活を目標に支援する

「安定した生活」を作ることに支援の目標を設定します。安定した生活ができるようになって初めて学ぶことや成長することができるようになります。混乱した環境の中では学ぶことが難しいというのが、この障害の特徴でもあります。安定した生活を作るために考慮すべきポイントは以下のようです。
1. 枠はめ社会的ルールの枠組みを明確にし、枠組みに沿った行動を促す。社会的なルールを大きく逸脱するような行動には周囲が一致して厳然とした態度で行動を制限する
2. 行動管理本人が学ぶ、周囲が対応を調節する(社会的行動障害の項を参照
3. 環境設定安心して行動できる環境を整備する

  1. 構造化
    シンプルで分かりやすくする。スケジュールを決め、行動をパターン化する
  2. 周囲の自然なサポート
    周囲の人たちが情報を分かりやすく提示する、困っている場面で手がかりとなるような声かけをする
  3. 信頼できるキーパースン
    困った時に相談にのってくれる人(本人が信頼している)が身近にいる
  4. できる活動、気に入った活動
    できることや気に入った活動があり、周囲に認めてもらえることで居場所になる

ステップbyステップ

医療における認知訓練から開始し、生活訓練、職能訓練とショートゴールを積み重ねながら訓練のステップをひとつずつすすめて社会復帰を目指します。
Ver.2 第5期のモデル事業に取り組む中で、新たに整理された援助の基本的な考え方です。

開放型循環システム

相談から社会復帰までの流れは図のようです。高次脳機能障害者は意識障害からめざめた後、認知障害の評価や認知リハが病院で実施されます。その後、障害が重度で生活の自立や職業復帰の見通しのない場合、あるいは高齢で職場復帰のニーズがない場合などは、福祉サービスや介護保険サービスなどを活用しながら在宅で生活を送ります。逆に後遺症が軽度で復学や復職に問題がない場合は、病院の認知リハのみで社会に復帰します。すぐには社会に復帰できないものの、さまざまな訓練によって就学や就労などが見込まれる場合は更生施設での生活訓練や職能訓練を行ないます。
いったん社会復帰した後でも問題が生じたり、ステップアップしたいとのニーズが出てきた場合には、いつでもどのステップからでも再度フォローアップして必要な訓練に戻ることが可能です。
高次脳機能障害者は環境との相互作用によって、適応的な生活を送ることができるようになる反面、環境の変化によって適応状態が崩れてしまうこともあります。社会に戻ったあとも長期的に支援していくことが必要です。

開放型循環システム図

社会的行動障害への対応―環境調整とコーチング

社会的行動障害は社会参加するうえで重大な阻害要因となります。感情のコントロールや欲求のコントロールなどの抑制に関わる症状は外的なaction(刺激)に対するreaction(反応)として起こりやすく、出現する症状は画一的で、出現しやすい状況も画一的であるという特徴がみられます。器質的な要因が強ければ強いほど、このような傾向がみられます。また症状が頻繁に出現すると、不適応行動は固定化しやすくなります。現れる症状が画一的でない場合には、別の要因(例えば心理的な)も検討する必要があるでしょう。 対応の基本は2つあります。

  1. 刺激を取り除いたり、本人の許容できる範囲におさめることで、症状を出現しにくくします。症状が軽いうちに環境を調整すること、すなわち早期の対応が重要です。症状が出現しなくなったら徐々に刺激の負荷を増やして、耐性を高めていきます。
  2. 行動管理の方法について本人や周囲にコーチングしていきます。コーチングをする時には分かりやすいキーワードを共通言語として用いるとよいでしょう。

キーワードの例

「クールダウン」環境を変えたり、話題を変えたりして注意をそらし、興奮を鎮める
「リセット」混乱や思い込みが激しくなって環境への不適応が著明になったら、修正しようとするのではなく環境そのものを取り替えてしまう
「棚上げ」こだわっていることをいったん棚上げして目の前のやらなければいけないことに注目させる
「スローガン」本人と約束して守るべき努力目標をスローガンとして掲げ、目に付くところに貼って、絶えず自覚するように促す。スローガンは肯定的なものの方が受け入れられやすい
「重し」本人にとって権威ある存在の人が行動の指示をし、管理する
「究極の選択」本人がどうしてもやりたいと主張することを選択肢のひとつとし、スタッフや家族の薦める選択肢と並べて優先順位をつけ、順番に実施していく中で、現実的に妥当な選択肢に落ち着くようにする

社会生活における適応を現場で支援

社会復帰した後の環境への適応や定着を現場で支援することが必要です。就学支援、就労支援、施設支援などがあります。
支援の方法としては、現場の支援者に高次脳機能障害に関する講習やケース会議などを実施する、支援者からの相談にのって具体的なアドバイスをする、本人や家族と面接してアドバイスをするなどがあります。何よりも問題がこじれる前に介入し早期に解決を図ることが大切です。
目標や期間、方法、役割分担などを明示した支援計画を作成すると、本人、家族、支援者が一致した目標に向けてやっていくことができるようになります。

名古屋市の高次脳機能障害者支援システム図