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研究活動

一般就労している障がい者の余暇活動に関する実態調査

名古屋市総合リハビリテーションセンター就労支援課
稲葉健太郎


障がい者が働くことをとおした生涯にわたる「人生(生活)の質(QOL)」の向上を目指す場合、その職業生活と職場を離れた日常生活に対する一体的な支援の提供が重要ということは周知の事実であるが、一般就労している障がい者(以下、一般就労者)の生活、特に余暇の部分についての実態を明らかにした先行研究が存在していない。
そこで、一般就労者の余暇活動の状況や余暇支援の実態を明らかにするとともに、それらの必要性や課題について検討した。

【方法と対象】
「一般就労者398名」「愛知県内の就労支援機関74機関」「障がい者を雇用している事業主14事業所」を対象にして、郵送によるアンケート調査を実施した。また、取り組み内容に特徴があると考えられる支援機関として、8ヶ所を調査対象とし、各事業所の担当者に対して、半構造化面接による実態調査及び視察シートを用いた実態調査を行った。

【結果及び考察】
■一般就労者
一般就労者の60%程度は仕事と同等もしくはそれ以上に余暇活動に力を注ぎたいと希望しており、実際の余暇としては趣味・娯楽的活動を中心に過ごしながら、70%弱が余暇活動は仕事に良い影響を与えると考えていることが明らかとなった。そして、自身の余暇活動に対して不満足と回答された方は数%と少なく、現状に満足していることが分かった。ただし、自由記述欄では比較的多くの前向きな意見が挙げられると同時に、一緒に過ごす相手がいない、場所や情報、収入、体力・気力が不足している、などといった理由により、余暇活動にまで手が回らないという実情に対する不満足感も浮かび上がった。
■就労支援機関
各支援機関はそれぞれ工夫を凝らして余暇支援に取り組んでいたが、いずれも運営上の課題に悩んでいた。その一因は障がい者に対する余暇支援が法律上明確に位置づけられていないことにあろう。従前より余暇支援は生活支援の一部もしくは延長とみなされ、就労支援の一環ではなく、生活支援サービスに取り込んで運用・実施しているところが多くみられた。支援者の大半は障がい者が就職後にぶつかる様々な就労上、生活上の困難を軽減するために、仲間と悩みを共有しながら、職場以外の場面でも社会生活を学ぶことが安定就労につながると考えていた。
■企業
障がい者を雇用する企業においては、立場的に社員のプライベートには介入しづらいと想像されるなか、上司や職業生活相談員を中心に余暇活動の状況の把握をよく把握されていることが分かった。企業側独自での対応には限界があるものの、地域において一般就労者が余暇活動を活用することを期待していると言えよう。
■視察
アンケート結果同様、非就労系の他事業において実施する例の他、神戸市のように地域のネットワークを活用し実施している例、札幌市、東京都世田谷区のように行政施策として実施する例があり、会員制で余暇支援を行ったり、地域のイベントに参加するというスタイルもあった。
今回視察した各地の実践例はいずれも、地域の実情に合わせたそれぞれのスタイルで一般就労者のニーズに応えており、余暇支援の運営方法に苦慮している支援機関にとって大変参考になるものであった。

【おわりに】
本調査での当初目的を達成するためには、今後更なる調査が必要である。近年、障がい者にとって一般企業で就労する機会は着実に広がりつつあるが、今後も就労支援のあり方を含めて検討事項が多く残されている。今後、一般就労者の就労支援の一環としての余暇活動及び余暇支援が法的に明確に位置づけられ、仕事をしながら余暇も楽しみたい障がい者がより多く就労し、快適に就労を継続できるような社会の実現に向けて、われわれも寄与できるように努めていきたい。