課題番号2018014

ページ番号1001455  更新日 平成31年4月9日 印刷 

研究課題

脳循環代謝定量測定法([15O]GAS-PET)における完全無採血定量法の導入に関する基礎的検討

研究責任者

名古屋市総合リハビリテーションセンター 放射線診断科 診療放射線技師 林絵美

研究組織

放射線診断部 部長      飯田昭彦 定量値の妥当性検討・個人情報保護
放射線診断科 診療放射線技師 後藤啓介 画像データ取得、数値解析
企画研究室  診療放射線技師 布谷隆史 画像データ取得、数値解析
放射線診断科 科長      百石悟  数値解析
放射線診断科 診療放射線技師 満島岳珠 数値解析
脳神経外科  医師      間瀬光人 定量値の妥当性検討
国立循環器病研究センター放射線科 研究員 飯田秀博 アドバイザー

研究期間

2019年3月29日~2021年3月31日(予定)

対象者

2002年から2021年3月までに脳循環代謝測定で[15O]GAS-PET検査を実施した方

利用する情報

[15O]GAS–PET検査における血液中放射能濃度測定値、血液ガス測定値とPET画像

情報の管理

当事業団における個人情報保護方針に沿って管理を行う

研究目的

脳循環代謝定量測定法とは、気体状の放射性ガスを吸入させ、脳の薬剤分布をPETで撮像する検査([15O]GAS-PET)で、一般的なCTやMRIではわからない脳の働きを診ることができる脳機能検査法である。代表的な検査目的は血管の狭窄や閉塞に対して脳機能を詳細に測定し、治療介入の必要性を判断するために行われ、脳神経外科を中心に検査を行っている。通常、[15O]GAS-PETを行うには動脈からの採血が必要であるため、血管確保に伴う身体拘束および動脈穿刺のため侵襲性が高いことが認識されている。
近年、採血無しで定量値を推定するプログラムが国循で開発され、日本で初めて完全無採血による検査が開始されている。通常、採血にかかわる血管確保および止血時間は30分~60分を要し、検査終了までの時間は60分~90分かかる。無採血の場合、30分以内で検査完了が可能となり、大幅な時間短縮と、採血に伴う身体的苦痛を取り除くことができ、飛躍的に侵襲性が低くなる。加えて、採血に関わる医師・看護師の作業が省略できることより、[15O]GAS-PET検査実施の省力化が期待されている。
今回我々はプログラム開発者の協力を得て、完全無採血定量法のプログラムを使用する機会を得たが、本プログラムは国循での検査運用に特化されており、当院へ導入するには要所にてカスタマイズが必要となる。また、プログラムへの入力値としてPET画像上で測定した頚動脈および小脳の放射能濃度を使用するが、その領域指定方法によって得られる結果に変化が生じ、被検者の疾患によっても設定法の最適化が必要になることが指摘されている。
本事業では、国循で開発されたプログラムを当院の運用に適応させ、入力設定条件の違いによる推定定量値の変化を調査し、被検者疾患群別の設定方法の最適化を行う。本プログラムで得た推定定量値の妥当性を調査し、当院において完全無採血による[15O]GAS-PETの導入に関する基礎的検討をするものである。

研究方法

  1. 倫理審査委員会での承認、オプトアウト形式による研究同意確保
    (すでに実施済みの検査データに対して調査を行うもので侵襲・介入はなし)
  2. 完全無採血定量測定プログラムの当院導入にかかるカスタマイズ
    (主に、プログラムへの入力画像や結果出力画像のDICOM設定変更)
  3. 入力設定条件の検討(頸動脈、小脳の領域設定、疾患群別の最適化など)
    本検討を実施するには、国循方式(O2-CO2のDual Autoradiography法)で[15O]GAS-PET検査を実施する必要があり、当院においては2019年1月現在、健常群5例、頚動脈狭窄4例、頭部外傷1例の計10例のみである。疾患群別の詳細検討を行うに当たり、国循で実施済みの匿名化された画像データ50例(健常群(若年層・高齢層で各10例)、片側性虚血症例(10例)、もやもや病(10例)、動静脈奇形(10例))も使用して検討する。当院10症例と国循50症例は、撮影装置が同一メーカーでかつ撮影方法および周辺機器も同様に配置していることより、検討症例として同様に扱うことが可能である。50症例の画像解析は国循内で実施し、解析結果に統計処理を施した数値データを取り出し、当院にて統計的検討を行う。
  4. 推定定量値の妥当性の検討
    詳細検討を行った全症例において、採血定量値と、推定定量値の違いを比較する。採血定量値に比べて、推定定量値は結果に変動幅があることが予想される。そこで、採血定量値の参考数値として、当院で2002年より実施した236例の[15O]GAS-PET定量値も検討材料として使用する。
  5. 完全無採血定量測定法導入の検討結果のまとめ
    日本放射線技術学会、日本核医学会での研究発表および論文投稿

本研究に関する連絡先

名古屋市総合リハビリテーションセンター 放射線診断科 林絵美
愛知県名古屋市瑞穂区弥富町密柑山1-2
電話:052-835-3811(内線650 放射線科)

情報公開文書

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